設立の背景

みずほアルムナイネットワークは2020年に設立されました。

これまでの〈みずほ〉は、各分野で活躍されている魅力的なアルムナイがたくさんいるものの、残念ながら、一度会社を辞めた方とは縁が切れてしまうことが多いのが実情でした。社会全体の人材の流動性が高まる中、退職で関係性が終わってしまうことは〈みずほ〉にとって大きな損失であり、もったいないことだという想いがありました。

一方、2019年に〈みずほ〉は5ヵ年経営計画を策定し、その中で「次世代金融への転換」を掲げ、「オープン&コネクト」という基本戦略をもとに進捗させています。

オープン&コネクトの目的は、組織の枠を超えて多様な人たちとつながることで、外部の多様な知見を獲得し、新たな価値創造を生み出すこと。まさにアルムナイネットワークは、オープン&コネクトに即した考え方であり、「誰もが自由につながることができるオープンでフェアなプラットフォーム」を目指し、アルムナイネットワークを立ち上げました。

ただ、アルムナイネットワーク設立当初は「アルムナイ」という言葉への理解がなく、社内からも「アルムナイって何?」「退職した人とつながることで、社員を退職に向かわせてしまうのでは」といった慎重な声もありました。

それでも実際に多様なフィールドで活躍しているアルムナイに話を聞いてみると、多くの人が退職後も〈みずほ〉に愛着を持ってくれていることが分かってきました。そんなアルムナイの皆さんとの関係性に大きな魅力を感じ、新しい可能性を信じて試行錯誤をしながら、この2年間活動をしております。

取り組み内容

〈みずほ〉のアルムナイネットワークは、オープン&コネクトのコンセプトに沿って、「知見の拡大」「ネットワーキング」「人材・ビジネス連携」という3つの目的を掲げています。

具体的にはアルムナイ専用のSNSを立ち上げ、その中でさまざまな情報発信を行っています。

中でもアルムナイから喜ばれているのが、社内報と〈みずほ〉が作成している産業調査レポートです。産業調査レポートはお客さまに有償で提供しているものですが、アルムナイの皆さんには無償で提供しています。「〈みずほ〉にいた頃よりも熱心にチェックしている」という声もいただいており、すでに社内にあるアセットを有効活用することがアルムナイの価値にもなるのだと実感しています。

他に、卒業後に多方面で活躍しているアルムナイのインタビュー記事も好評です。インタビューを受けてくださるアルムナイの方は「〈みずほ〉時代の経験が今のキャリアに生きている」と熱く語ってくださいます。インタビュー記事は現役社員にも公開しており、「勇気づけられる」「刺激になる」といったコメントが届いております。

また、現役社員とアルムナイの交流の場を定期的に設けています。〈みずほ〉には社員が特定のテーマで集まり活動をする「ERG(社員リソースグループ)」があり、国内に10グループがあるのですが、そのうち3つのグループとこれまでにコラボレーションをし、トークセッションを行ってきました。

特に反響が大きかったのが、若手社員が集まるグループが開催したイベントです。グループ立ち上げ後の第一歩としてアルムナイが登壇するイベントを行ったのですが、現役社員約200人が参加をするほど盛況で、「会社に守られて世の中の変化に鈍くなっていたことを実感した」「〈みずほ〉の中には実はたくさんの挑戦機会があると気がついた」など、現役社員が自身のキャリアや仕事を見つめ直す良い機会になっています。

他に、企業風土の改革を推進するにあたり、アルムナイの皆さんからの客観的な指摘を貴重な意見として役立てています。

具体的には、〈みずほ〉の企業カルチャーの問題点をあげてもらう意見交換会を開催しました。アルムナイからは「現役時代にもっと自由に発言ができる雰囲気があったらよかった」「業務量が多く、やるべきことにフォーカスできなかった。やらないことはやらないとはっきりさせるべき」などの指摘をいただき、とても参考になっています。

同時に、〈みずほ〉の現役社員を激励する言葉もいただきました。「〈みずほ〉が退職した元社員とつながり、真剣に意見を聞こうとしていることに対して、組織が変わりつつあることを実感した」という印象深い声もありました。

こうしたアルムナイの意見や想いを聞き、それを社内やアルムナイネットワーク内で共有することには、大きな価値があると感じています。


アルムナイは〈みずほ〉という共通項を持った、一番身近な社外の人。そして、強力な助言者であり、財産でもある。2年間の活動を通じ、改めてそう感じています。

アルムナイネットワークの現在

現在、アルムナイネットワークの登録者数は約450名。平均年齢は30代後半です。アルムナイの現在の業界は金融が26%、金融以外が64%と、〈みずほ〉卒業後、本当に幅広いフィールドで活躍していることがおわかりいただけるかと思います。

特に2022年から登録者数は急増しています。私たちが地道にネットワークづくりに取り組んできたことも要因の一つだと思いますが、日本においてアルムナイの良さが認識されてきたのではと思っています。

アルムナイからは「辞めても愛着を感じている」「このネットワークをビジネスに生かしたい」と言った反響があり、こういったアルムナイの皆さんの〈みずほ〉への想いやネットワークへの期待によって、〈みずほ〉のアルムナイネットワークはここまで拡大したのだと思います。これまでの取り組みは全て、アルムナイの協力なくして成し得なかったことです。

2022年9月に行った2周年記念イベントでは、アルムナイの皆さんにホワイトボードにメッセージを書いていただきました。励ましの言葉や「イベント楽しかったです。引き続き開催してください」といった好意的な言葉をたくさん書いてくださったことを、本当にうれしく思っています。

今後の目標

今後の目標は、〈みずほ〉とアルムナイがより良いつながりを保ちながら、持続的かつ継続的な活動にすること。そして、双方向の関係性を意識し、新しい価値を見出せるようなネットワークにすることです。

設立当初から登録してくれている「コアアルムナイ」の皆さんからは、これまでたくさんのアドバイスをいただいてきました。最近は気軽な発信を増やすことでアルムナイSNSを楽しく盛り上げようと、「アルムナイサポーター」が活躍してくれています。こういった双方向のコミュニケーションを、これからも大事にしていきたいと思っています。

〈みずほ〉を卒業した方が外の世界で活躍してくださることは、現役社員にとってとても誇らしいことです。退職して関係が終わるのではなく、退職後もお互いがつながり、支え合いながら、「アルムナイの活躍が〈みずほ〉の誇りである」という考え方を浸透させていきたいです。

そうやってそれぞれが自身のキャリア形成の考え方に基づき、さまざまな経験を積み、一回りも二回りも大きくなって、再び〈みずほ〉に戻って来てくれたらこれほどうれしいことはありません。

最後に、「アルムナイネットワークに対して、当初は社内から慎重な声が多く上がった」と冒頭で申し上げましたが、今回のアワード受賞を社内に報告したところ、さまざまな部署からお祝いのコメントが届きました。〈みずほ〉とアルムナイのビジネス連携をはじめ、まだまだ活動の幅を広げる余地があるのを感じています。

審査員の評価

「5ヵ年経営計画」との連動、企業風土改革に役立てている等のビジネスインパクトが期待できる点、大きな金融企業のため動かすことの難しさが想定される中、グループ横断で取組み、役員もコミットしている点を評価。

また、アルムナイの期待に応えつつ、社員も巻き込んだ形での具体的な活動を行い、型をつくり取り組んでいる点も評価。これらの持続するための基盤整備の完成度を評価し、グランプリに選出。